金原ひとみと綿谷りさ。若い女の子二人の受賞とあって何かと話題の芥川賞受賞作を読んだ。純文学というか私小説というか、基本的に内に籠もっていく小説は苦手なので、相当興味をもったものしか読まないのだが、たまたま文藝春秋が目に付いたので買ってしまった。
簡単に感想を言うと、どっちもそれなりに面白い。選評で村上龍が書いている「強く推すというよりも、受賞に反対する理由がない」という評価は的を射ているのではないかと思う。読む価値はあると思うので興味がある人は読んでみると良い。後悔することはないだろう。
ちなみに、既にこの二人の受賞作は単行本として出版されていて(蛇にピアス、蹴りたい背中)両方買うと2000円を超えてしまう。インタビューや選評など、本文以外の記事までよめて780円の文藝春秋は得だと思うが、どちらの作品も単行本化されるタイミングで推敲されているため、文藝春秋の掲載原稿と単行本の原稿の内容は微妙に違う。
ところで、金原ひとみが受賞コメントで書いていたのだが、<<頑張っている生きてる人って何か見てて笑っちゃうし、何でも流せる人っていいなあ、と思う。私はそんな適当な人間だから、小説にだけは誠実になろうと思う。いや、誠実でなくてもいい。一生懸命、気張らずに、とりあえず書いて、まあ、適当に。>>
適当ってのはいいと思う。適当に生きられるかどうかで人生を楽しめるかどうかも決まると思う。息切れしない程度がいい。頑張りすぎることは暴走と紙一重だろう。
ただまあ、「頑張って生きてる人って何か見てて笑っちゃう」かというとそんなこともない。見てて笑っちゃうのは頑張ってるフリをしてその実頑張ってない人が「笑っちゃう人」だ。が、この「笑っちゃう人」はある意味適当に生きてる人だともいえ、見方によっては好感も持てる。
誰が一番幸せなのかは本人のみぞ知る(収束せず)。