Inspirational Mind

2003.10.11 - 2011.04.11

仮説思考で無駄な情報収集をなくす

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

何か答えが必要になった際、まずは情報収集から入るのが自分の癖だったと思う。さまざまなことを調査して、その中から答えになりそうなものを選択し、纏め上げていく。当たり前の手法のようではあるが、多くの場合、締め切りまでの限られた期間において調査時間が大半を占めてしまい、肝心の纏め上げる作業時間がとれない。そんなことを繰り返していたと思う。

仮説思考とは、問題を解決する際にまずは仮説を立て、その上で調査や検証を行う思考プロセスを指すようだ。コンサルタントの思考プロセスとしては当たり前のことのようで、過去にもこのプロセスを扱った本は何冊か読んでいたのだが、仮説思考の重要性から順を追って解説してある本は個人的に初めてだった。

常に限られた時間の中で仕事をしている以上、すべてを網羅する調査時間を得られるわけではない。自分の知識と経験の中から仮説を立て、それを検証しながら真実味を持たせていく。間違った仮説であれば検証過程で気づく可能性も高く、その上で仮説を立て直して再度検証する。それでも網羅的に調査しながら問題解決を行うよりは効率がよいとのこと。

実際、提案書やプレゼン資料を書く場合にも、つねに纏める作業がぎりぎりになってしまい、一番重要な結論をやっつけで書いてしまっていることも多いことを考えると、たとえ間違ったかせつであっても、ポイントを絞って検証していくことで、その内容に深みをもたせることも、説得力を高めることもできるわけで、意味のあるアウトプットになるのではないか。

より精度の高い仮説を生み出していくためには、仮説思考を継続して繰り返すことと、自分の経験が鍵になっていくわけだが、仮説を立てることが習慣になっていなければその力も身についてはいかないだろう。

仮説思考の手法に関して、より細かく記述された本は他にもあるのかもしれないが、自分自身への問題提起という意味ではこの本が最も役に立った。良書だと思う。