Inspirational Mind

2003.10.11 - 2011.04.11

変化とニーズと技術の歯車

自分がそうなのだが、企業システムに関わっていると、常に統合に向かって物事を考えがちになってしまう。それが、業務の統合だったり、マスタの統合であったり、システムの統合だったり、何でもそうだ。

最近では、業務ごとに乱立するシステムを美しく統合することが難しいことを背景にしてSOAメタデータ統合といった、曖昧に(意味合いがおかしいかもしれない)統合するような流れ、というか注目が集まってきているように思える。

基幹システムを数年かけて構築し、運用にのったとしても、その瞬間から次の要望は生まれ、分社化やM&A等が発生すれば、全社のシステム環境も業務も変化する。その変化に現状の情報システムは対応しきれていないのだろう。

実際、変化がおこることなど、システムを構築もしくは提供する側が気づかないわけもなく、それを想定したシステム構築を目指すが、規模が大きくなればなるほどそれは難しくなる。

たとえば、あるSIベンダーにシステム開発を依頼したとする。そのベンダーは自社のフレームワークに沿って、拡張性や変化対応力に優れたシステムをなんとか構築できるかもしれない。ただ、それはあるベンダー一社ないでの話で、単価の折り合いがつかなくなって、企業側が別のベンダーに乗り換えようものなら、そのノウハウやアーキテクチャは闇に消える。

とすと、企業側の情報システム担当者が全体像を把握して、さらに全社規模でEA等を構築しながら情報システムの展開を進めていたとしても、先ほど述べたようなM&Aがあれば大規模なシステム改修や統合が必要になる。

現状、これらの変化にシステムが対応できずにいるのは、ビジネスの変化にソフトウェア業界の技術の進歩が追いついていないからではないかと思う。

変化に対応しきれないから、SIという業種は存在でき、ビジネスとして成り立っているのかもしれないが、存在しているというだけで、そこにいる人々のストレスは蓄積し、脱落しているひとも多いのではないか、仕事はどれも厳しいが、病んでいる人が多いと感じてしまうのも、また事実のような気がする。

システム企画と構築にじっくりと時間をかけ、品質の高いシステムを構築できていた頃はとてもやりがいのある面白い仕事だったのだろう。今の現状がつまらないわけではもちろん無く、依然としてやりがいがあり、面白い仕事だと思う。

ただ、どうも歯車が噛み合っていないと思うのは、気のせいなんだろうか。