写真の左側に移る建物は、とあるマンションのモデルルームだ、深夜0時までそのライトは輝き、星の輝きを消してしまう。写真には写っていないが、この手前にもマンションが建造中である。マンションの工事が始まるまで、道の脇には見事な雪柳が生えていて、桜の少ないこの付近では、春の象徴になっていた。
このあたりにわずかに残る田んぼや畑は、「望まれた風景」にも書いたように、みんな私有地だ。建造中のマンションにしても、この土地に長く住む人が、家族のためを想い、自らの土地に建てているものだ。新参者のおれがとやかく言うような問題ではない。
しかし、寂しいことには違いない。
人と緑が共存してきた美しい(と人が感じる)風景は次々に消え、合理化された無機質な建物が満ち溢れていく。このあたりの田畑がすべて消えるとき。それは、おれがこの土地を去るときでもある。