- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2004/11/12
- メディア: DVD
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昨日、華氏911を観てきた。疲れた。でも面白い。
アメリカで議論されているように、この映画は事実を追ったドキュメンタリー映画ではないとは思う。時系列に事象を並べているわけではなく、ムーアの主張にそって事実が並べられている。ムーアの考えを押し通すためのプロモーションビデオを観ているような印象を受けた。
現実にカメラに収められた大量の証拠?映像を見ていると、確かに説得力もあるし、この映画に嘘はないだろうと思える。イラク戦争に関するいくつかのエピソードでは涙したし、アメリカの現状について哀れに思ったりもした。ブッシュはどんどんアホに見えてくるし、利権が絡んだ悪巧みもほんとにありそうにみえる。
事実はともかく、この映画のムーアの主張が正しいかどうかは、アメリカの政治情勢をトレースしているわけでもないおれに語ることはできない。911米国同時多発テロ、アフガン、イラクの戦争によってたくさんの人々が死んでいる現状を指して、正しいとか正しくないとかを熱心に語っているのをみると確かに嫌悪感に包まれる。
テロによって家族が死ねば、その実行グループを恨むだろうし、米軍の誤爆によって恋人が死ねば、ブッシュや米国を憎むだろう。どんなに米兵が現地で優しく振舞ったところでその事実を打ち消すことはできない。これはしょうがないことだ。末端にいる人々の心を拾ってあげることができなければ、他者を柔軟に受け入れる土壌が固められなければ、何も好転しないだろうと感じてしまった。
この映画を観た人間が、ブッシュ嫌いになるのはかまわないが、このブッシュの言いなりになって自衛隊を派遣してしまった日本の政治家(小泉)がいて、それを許容できてしまう現状の日本は、もっともっと腐っているかもしれない。
サマワにはまだ自衛隊がいて、彼らの親兄弟や恋人は心配し続けていることだろう。
現場の状況を伝える報道はほとんどなくなってしまったし、いま、自衛隊はどんな状態なのだろう。
米兵がゲリラの攻撃を受けて死んでしまうのも、件数が多すぎるせいもあって印象が薄くなってきている。
華氏911は面白い。これだけ重いテーマを扱いつつも、全編にわたってユーモアに満ちている。映画としてのドキュメンタリーなど日本人が作ってもまずウケナイのに、これだけ注目を集め、実際に動員数も増やしている。
せっかくだから、ただこの映画をみて楽しむのではなく、
ゆっくりとみんなで考えりゃいいんだと思う。
なぜ911はおきてしまったのか、なぜ大儀のないイラク戦争を行ってしまったのか、なぜアルカイダという組織は生まれたのか、なぜ民間人が死ななければいけないのか。
結果だけ見てもしょうがない。論理的で表面的な理由だけを追求してもしょうがない。
問題の本質はどこにあるのだろう。
頭のいい人たちよ。
考えてくれていないのか。