Inspirational Mind

2003.10.11 - 2011.04.11

中央青山監査法人の業務停止について

カネボウ粉飾決算に関与していた事件によって、金融庁から業務停止処分を受けた件だが、J-SOX法(正式には「投資サービス法」になるのかな)の実務指針が6月に出て、対象企業が内部統制対策を始めるにあたっての気構えを高める目的としては、このタイミングの摘発は効果があると思う。

ただ、実際問題として、2,300社の顧客を抱える中央青山が業務停止になる影響はどの程度のものなのか、非常に気になる。

http://d.hatena.ne.jp/yoidore_keiri/20060511/1147316030

ただ、2,300社が一斉にフルーツバスケット状態になってもそんなに椅子(=受けてくれる監査人)はいないわけで、これに関しては

「(現在)どの事務所も、どの会計士も、いっぱいいっぱいで動いている。他人の仕事までは無理、(中央青山の分を)吸収するのは難しい。”受け皿監査法人”を創設して、業務を肩代わりすることも選択肢」(八田進ニ 教授/青山学院大学 大学院)

ということでした。

それでいいのか、という気もしますが、折りよく「PwCが日本で監査法人設立」というニュースも流れていましたし、これが”受け皿”なのかなぁ、とも思います。

中央青山のような規模の監査法人になると、会計監査だけではなくコンサルタント業も営んでいるわけで、内部統制対策もサービスとして提供している。J-SOX法では外部監査人はその監査対象となる企業に対して助言することは出来ないから、内部統制のコンサルタントに関しては、別途依頼する必要が出てくるわけだ。

投資サービス法の施行時期は1年延びたものの、実際の対策自体は今年度中に行い、来年度に試行、そして再来年度に本番を迎えるような流れになるらしい。つまり、対策自体は今年中に行わなければいけないわけで、そのためには期中監査を行う監査人はもちろん、内部統制対策を支援するコンサルタントも必要だ。

あぁ、人が足りなくなりそうだ。どうすんだろ。

個人的には、中央青山に対する処分は企業に対してではなく、実際に粉飾に関与した個人に対して行っても良かったのではないかと思う。監査業務の実際を細かく知るわけではないので偉そうなことは言えないが、監査業務は企業力というよりは各公認会計士個人の力に依存している仕事なんじゃないだろうか。

http://d.hatena.ne.jp/yoidore_keiri/20060511/1147316030

つまりは、会社法第三百三十七条の「会計監査人の資格等」を満たせなくなる、ということのようです。

ここで言う「会計監査人の資格等」は不正を行った監査法人全体にかかるものなのか、個人にかかるものなのか、「監査人」と書いているわけだから個人というわけにはいかないのだろうか。いかないんだろうな。

つまるところ、中央青山に所属している人材が連帯責任の名のもとに無駄になってしまう可能性が心配で、2ヶ月の業務停止やその後の処理の間に今年度が終わってしまうなんて可能性もあるのかと。

傍観するしかないわけだが。。。