Inspirational Mind

2003.10.11 - 2011.04.11

ターゲットメディアとしての雑誌

5月の半ばから、編集者やライター向けの養成講座に通っていて、毎週土曜日に面白い話を聞きに行っている。その中で面白い話を聞いたので、ちょっと紹介。

話をしてくれたのは、電通雑誌部部長の吉良俊彦氏。著書に「情報0円。雑誌はブランディングメディアである」(宣伝会議)がある。2時間の講義の中での前半部分、メディアについて話してくれた部分を紹介する。
以下は講義ノートだと思ってくれて良い。

4大メディアという言葉がある。わかるだろうか。
・テレビ
・新聞
・雑誌
・ラジオ
最近ではこれにインターネットが加わって、5大メディアと呼ばれることもあるようだ。

そして、これらのメディアが伝えるものはなんだろうか。

ニュース、天気予報、地震速報、スポーツ。。。報道
音楽、料理、占い、ライフスタイル、交通情報。。。情報

つまり、メディアは報道と情報を伝えている。らしい。

(報道と情報の分類については、腑に落ちない点があった。ただ、それはあくまで言葉の問題で、「報道も情報の一部なんじゃないだろうか」という反発があっただけ。2つに分類できるという理論はよく理解できた)

ひとは、テレビや新聞を見るときに何を求めるかというと、まず報道を求める。報道とは、すべての人に関係のある事柄である。それはニュースであり、天気予報、先週の金曜であれば台風情報も報道だ。で。報道に強いメディアが何かというと。

即時性では
1.テレビ、ラジオ
2.新聞
3.雑誌

伝達範囲では
1.テレビ
2.新聞
3.雑誌
4.ラジオ

ラジオはおいといて、雑誌は報道を伝えるには向いていないことがわかる。ただし、雑誌報道は意味がないかというと、そういうわけではない。雑誌にはテレビや新聞にはない力がある。それは報道の質である。テレビや新聞は物事を正確に伝えようとするために、事実だけの内容になりがちである。それに対して、雑誌には思想がある。つまり、雑誌の「主観」があるわけだ。それが付加価値になっている。

これに対し、情報とはなにか。情報とは、個人の生活に関係のある事柄のことである。たとえば、映画、音楽、本、街、趣味などが情報にあてはまる。報道との違いは、選別されること。

例えば飲食店について、話をするとき、
「あの店知ってる? うまいよ」
という会話は普通だが。

みんなが苦労している台風について話をするとき、
「今日の台風知ってる? すごい風だぜ」
と、自分だけの情報のように話したら、ただのアホだ。
つまり、以下のような式になる。
報道=大衆
情報=選別

となると、テレビ、ラジオ、新聞は万人向けのメディアであるため、ある個人を対象にした情報を提供することは難しい。雑誌のようなメディアの方が向いているのである。なぜテレビのようなマスメディアではいけないのかというと、誰でも知ってる情報は面白くないからだ。人に話して優越感を得られない情報は面白くない(言い過ぎ)。

それに対して、雑誌はどうか。そもそも雑誌は記事に興味のある人間しか買わない。情報を求めて人は雑誌を手に取っている。売れる雑誌を作るためには自然とターゲットを絞ることになる。

雑誌の部数の話をすると、大体25万部を超えたあたりから、雑誌も「大衆化」してしまうらしい。つまり、誰に聞いても「ああ、あれね。知ってる知ってる。」となってしまう。最近の雑誌は、それを防ぐために売れそうな雑誌でも抑える努力をしているのだそうだ。そうしないと、一時的に売れまくっても、その後売れなくなってしまうらしい。

さて、雑誌にはもう一つ重要なポイントがある。それは広告

現在の雑誌において、広告のない雑誌経営はありえない。もともとは販売を重きをおいていた雑誌だが、現在の雑誌収入は販売ではなく、広告費の割合の方が高くなっているとのこと。
広告で利益の得られない雑誌など、最初からスタートしないケースもあるようだ。

個人に対してターゲットを絞っていく雑誌、そして販売よりも広告による収益が重要な雑誌。そうなっていく中で、雑誌はもうマスメディアではなく、
より選択されたターゲットメディアなんだ。

ということらしい。わかりにくいかな。