Inspirational Mind

2003.10.11 - 2011.04.11

 「知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画」は面白い。こんな前向きな話を聞くのは久しぶりで、現在知的産業に属している自分の立場を考えると、とても嬉しい。
 9日の読売の社説では、生み出された知的財産の扱いについての論説が中心になっていたが、この計画で最も重要なことは、知的財産を生み出す土壌を早急に作り上げることだと認識している。知的財産の保護ももちろん重要だが、多くの優れた知的財産が生まれてこその問題だ。
 この計画の中で、個人的に頑張ってほしいことが2点ある。知的財産の情報開示の促進と、知的財産関連情報へのアクセスの利便性向上である。具体的には、既存の知的財産の調査を容易にする仕組みを作ってほしい。
 ジェームス・W・ヤングが自著「アイデアの作り方」で書いているが、新しいアイデアとは、既存のアイデアの新しい組み合わせである。既存の知的財産を自由に知ることができるのであれば、それらの組み合わせによって、より優れた知的財産が生まれる可能性もある。現在、特許庁電子図書館の使い勝手は非常に悪く、目的の情報に辿りつくには時間がかかる。
 また、知的財産の情報開示に関しては、個別企業の判断に委ねるべきだとあるが、釈然としない。新製品を開発後、利益を上げた後に特許侵害で訴えられるのは馬鹿げている。 特許取得技術の詳細を公開することは、企業にしてみれば抵抗があることだと思う。努力の結果を無料で提供しているようなものだからだ。しかし、情報の公開が各企業の切磋琢磨を生み、各業界の技術革新に繋がる可能性もある。各企業の判断に期待したい。 
 今回の計画が、日本の創造者たちの意欲と競争力の向上の助けになることを願ってやまない。この計画案に記述されている項目が、ひとつでも多く実現されればよいと考えている。